[再掲]Data is the Next Intel Inside

ちょっと訳あってTim O’reilly氏の「What is Web 2.0(邦訳Web 2.0:次世代ソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデル)」を読み直してみた。
「Intel Inside」ってIntelのキャンペーン名だよ?
ここで挙げられている「Web 2.0でのデザインパターン」の1つにに、「Data is the Next Intel Inside(データは次の「Intel Inside」だ)」ってのがあるんだけど(原文だと3ページ目の中頃。CNETだと後半の1ページ目)、ググってみると、O’reilly氏が「Intel Inside」を比喩に使った理由が、あちこちで激しく誤解されてるような気がする。「Intel Inside」はキャンペーンの名前であって、会社の名前でもCPUの名前でもないんだけどなあ。
もしかして今の人が「Intel Inside」キャンペーンの衝撃を知らないだけなのかも知れないけど、重要なのは、なぜTim氏が「データは次世代のIntelのCPUだ」と言わずに「Intel Insideだ」と言ったのか、そこんとこなわけ。
なぜデータは「Next Intel Inside」なのか
てなわけで、ざっくりと「Intel Inside」の歴史を追いつつ、Tim O’reillyがなぜ「Intel Inside」を次世代のデータのありかたに比喩したか、自分の解釈を書いてみる(今後NetにおけるデータはPCにおけるCPUのような重要な存在になる、ってのはみんな理解してると思うのでパス)。
超テキトーなIntelと「Intel Inside」の歴史
まず、昔はCPUってのは、機械のフタを開けないと見られないただの部品に過ぎなかった。だからCPUがどこのメーカ製かなんて一般ユーザーは気にもかけなかった。
しかしIntelは、部品屋の分際でPC本体に自社のシールを貼ってもらう戦略に出た。もちろんPCを作ってるのはIBMとかであってIntelじゃない。Intelが標榜したのは、巨大なPCに対して、たかが爪の先くらいの部品1個。
しかしPCの性能はCPUに左右されるということはそろそろバレていたので、顧客はこのシールを指標の1つにした。
結果Intelはブランド化に成功、PCメーカは進んでこのシールを貼るようになり、今では90%超の市販PCにインテルのシールが張ってある(と思う。2005年現在)。キャンペーンが成功したのはIntelの商品力あってこそである。誰も粗末な部品を使っていることを標榜したい人はいないだろう。
つまり表からは見えない単なる部品であっても、そこに重要な価値があれば表にシールを貼ることができる。たとえそれが他人の作った商品であってもだ。そしてそれをブランドにすることができる。それを証明したのがIntel社のシール。そのシールには「Intel Inside」と書かれている。
(intermission:トイレ休憩)
「Intel Inside」とWeb 2.0におけるデータ
Web 2.0ではMashupによってヨソのサイトへのデータ供給が加速する。データとその供給方法が優秀であればあるほど多くの人が喜んで使ってくれるだろう。そして優秀なデータであれば、少々シールが貼ってあっても誰も文句は言わないだろう。むしろ信頼性の証として、シールが貼られていることを望む人だっているだろう。
現在においても、既にこの動きは始まっていて、地図情報にGoogleMapsを使用したり、書籍情報にAmazonを利用したりするサイトが急激に増えている。これは同時にGoogleでもAmazonでもないサイトに「Google」や「Amazon」のシールがペタペタ貼られていっているということを意味する。まさに、IBMとかが頑張って作ったPCに「Intel Inside」のシールがペタペタ貼ってあるのと同じ状況なわけだ。未来がさらにどうなるかは「What is Web 2.0」に詳説されている。
よく和訳では「Data is the Next Intel Inside」を「データが最重要であると知っている」とか訳されているが、まあこれは名訳かなと思う。IntelはCPUがPCの最重要部品であることを知っていたから「Intel Inside」キャンペーンを展開することができたのだ。
しかしその言葉の陰にある、「模倣不能な優れたデータとその供給方法があれば、データにシールを貼るだけでビジネスが成立する」他方で「データの独占やシールを作る価値すらないデータで市場を制するのは難しい」という重要な側面を忘れてはならない。100億かけて集めたデータでもペイしなければ意味がないのだから。
「Data is the Next Intel Inside」という言葉は、データの重要性ばかりでなく、集めたデータをどうやってビジネスにするかのヒントをも含む極めて洗練されたキャッチフレーズなのだ。
おまけ
Tim O’reillyが提唱した、Web 2.0 Design Patternsの全て。
- The Long Tail
- Data is the Next Intel Inside ←今回取り上げたのがコレ
- Users Add Value
- Network Effects by Default
- Some Rights Reserved.
- The Perpetual Beta
- Cooperate, Don’t Control
- Software Above the Level of a Single Device
2011/12/13 - 04:44:52 -
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